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2005年12月18日 (日)

姉歯vs木村の喚問をネチネチ読み解く

◎刑法246条【詐欺】人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
◎議院証言法4条 証人は、自己又は次に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
◎同法6条 この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
◎同法7条 正当の理由がなくて、証人が出頭せず、現在場所において証言すべきことの要求を拒み、若しくは要求された書類を提出しないとき、又は証人が宣誓若しくは証言を拒んだときは、一年以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

この辺の計算が姉歯秀次元1級建築士と木村建築、総合経営研究所の証言に如実に表れた証人喚問だった。
13日にも述べたように姉歯元建築士を詐欺罪等の懲役罰でパクるのは非常に難しい。
おそらく証人喚問自体も50万円以下の罰金刑となる建築基準法違反では通常は略式命令程度で終わるので20日+α程度の留置・拘置をするのはどうかとの懸念があったからこそ姉歯元建築士を議院証言法の証言拒否罪または偽証罪で引っ張ろうとの意図でやったのであろう。

当事者の姉歯元建築士には失う物はない。もう1級建築士の資格は失ってしまったし証言を拒否したり偽証してまで守るべき何もないばかりか正直に何もかも言った方が遙かに安全である。だから国会に出てきたし拙劣としかいいようのない質問の連発にも関わらず明確に証言した。
彼にとって正直にすべてを暴露するのが身を守る最良の策である。だから証言内容は信用できる。
となると元建築士の言い分と食い違う木村建設(木村)の主張は偽証の可能性が高いとなる。おそらく当人もわかっていよう。だが偽証で捕まる方が詐欺罪で持って行かれるよりずっとマシだという計算くらい私にもできる。木村は姉歯証言のうち認めると欺罔があったと白状するに等しい部分だけを言い逃れた。
また議院証言法4条の規定で証言を拒めば「刑事訴追を受け」るおそれがあると自ら認識していると、これまた白状するに等しくなる。
喚問が終わるまで捜査当局は本格捜査を行っていない、というか言い逃れさせないためにわざと行わないでいるわけだから「有罪判決を受けるおそれ」を理由にもできない。

【証言要約】
◎姉歯:正規に計算書を作成して提出したが(木村からから)「鉄筋量を減らしてくれ」と。私は「これ以上は無理です」とそのたびに言ってきた。・・・・「これ以上はできません」という言葉の中には(法令違反と)いう意味が含まれているので、(木村は法令違反と)十分に認識があったと思う。暗黙の中でそれは理解していたものと思われる。
◎木村:姉歯氏は構造計算のプロと認識していたので法を犯すとは思わなかった。・・・・法律内で鉄筋を減らすとの問題を経済効果を求めて話したことはあるが強く圧力をかけたとの認識はない。プロの姉歯氏に確認してもらった案件で施工した。

◎姉歯:(木村から)鉄筋量を減らさなければ、仕事を一切出さないということだった。・・・・「これ以上はできません」と言った時に「事務所を変えてもいいんだよ。構造事務所はお前のところだけじゃない」という形で毎回言われる
◎木村:(事務所を変えると)言ったことはあるかと思うが法令順守、法を犯すとの認識はまったくなかった。「変える」ではなく「他にもあるよ」と言ったことがある。

この木村側の証言で最も不可解なのは木村建設は姉歯元建築士を「プロ」として法を守ると信じ切っていたという半面で、その「プロ」が「これ以上は無理です」「これ以上はできません」と答えている鉄筋量減らしができないならば事務所を変えてもいいと押し返している点だ。

小社は出版社として印刷会社などに発注する。一方で資金繰りのために広告などを受注することもある。その感覚でいえば受注側が「これ以上は無理です」と返答するのは本当に「できない」時だけだ。場合によっては赤を覚悟で受注することさえあるから「経済効果を求め」られただけで「無理」とはなかなか言わない。それは木村自身が発注者でもあり受注者でもあるから熟知しているはずだ。
事務所を変えるとか他にもあるという言い方を「無理です」という者にするのも常軌を逸している。

「無理」とまでいう相手の見積もりは2種類ある。
1つは受注側が発注側を素人とみてふっかけている場合だ。だが木村にそれが通じないのは姉歯元建築士には分かり切っているからしないし、木村も数字を乗せているとは考えまい。
となるともう1つの「無理」は無理なんだろうなと納得する場合しかない。そうであれば通常は「他にもある」はずの建築事務所に相見積もりを取って静かにそちらに乗り換える。事務所を変えるなどという言い方は不要だ。それを敢えてしたのはアイミツを取れる建築事務所など木村になかったからだ。そう推察すると経済効果を求めただけという言い分は実に苦しい。
こう推していくと先の不可解の答えはおよそ1つしかない。「プロ」がいう「無理」が「無理」だとわかりつつ、その無理を通せと要求した。なぜならばそれができるのは姉歯しかいないから、である。
したがって「法を犯すとの認識はまったくなかった」など信じられない。だが明白に脱法せよとは言っていないので欺罔の存在をギリギリでかわしたつもりの答弁といえよう。

それにしても姉歯元建築士がもう少しワルだったらな。「事務所を変えてもいいんだよ」と言われた時点で「木村が頼れるのはオレしかいない」と開き直れたはずだ。「どうぞご勝手に」と突き放せば姉歯証言が「木村が下に入っている」といい木村さえ「安くしろといわれることはあった」と認めるヒューザーに今度は木村が泣きつく展開になったであろう。
待てよ。もしかして十分ワルだったりして。その場合「事務所を変えて」法令違反をやってのける建築事務所が自分以外にもあると姉歯自身が確信を持っていたことになる「変えるとすればアソコか」なんてね。となると第二・第三の姉歯がいるとなる。現に今日(17日)の毎日新聞トップは「鉄筋不足は姉歯以外にも13棟」との特ダネを打ってきた。鉄筋不足が耐震性を満たしていないに直結したら事件は底なしだ。

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