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2005年12月13日 (火)

姉歯を建築基準法違反以外でパクれないか

姉歯元1級建築士が建築基準法に違反して構造計算を偽装していた事件で多くの建築士や建設会社は「法律で罰則まで定めている制度を無視した姉歯のような偽装を想定していなかった」と弁明している。
どこかで聞いたセリフだと思い出していたら分かった。住民基本台帳ネットワークを構築する住民基本台帳法改正審議の時に行政側の悪用を指摘した議員に対しての答弁だった。でも社会保険庁の職員はのぞき見していたわけだ。
そもそも「罰則まで定めているから・・・・」という論理は当初から引っくり返っているのだ。それがもし機能するならば犯罪は起きないことになる。だって刑法などで「罰則まで定めているから」ね。罪が防ぎようもないから予め罰を設けておくというのが罪刑法定主義の根幹なわけで、そこを倒錯させる詭弁は止めるがいい。

と、ここまで考えて姉歯元1級建築士を罪に問うのは難しいと気づく。結果的に彼がやったことは死者こそ出ていないがテロに等しい。でも現行法の何が適用できるのか。
真っ先に思い浮かぶのは誰だって刑法246条の詐欺罪だ。まず欺罔の有無であるが姉歯はだますつもりがあったのか。あったとして誰をだましたのか。建築確認を行った機関か。ヒューザーなどの建設主か。
警視庁などの事情聴取に対して姉歯は施工会社の木村建設から「鉄骨を減らすように圧力を受けた」と供述したと伝わる。一方ヒューザーの小嶋進社長は木村建設に姉歯を紹介されたと証言する。これらが事実ならば木村建設に欺罔があって姉歯は脅かされただけでヒューザーは被害者となる。
ところが一方でヒューザーが姉歯を指定してきたとの証言もチラホラ。こうなると一転してヒューザーがマンションを買った人をだました可能性も出てくる。グチャグチャだ。警察も筋の悪さに嘆いているだろうよ。
仮に欺罔と錯誤があったとしても金をもらって何も交付しなかったわけでもない。とんでもない物件をメチャクチャ不当に高い値段で買わされたと主張しても証明は難しい。
実際に今日震度5の地震が襲って案に相違して姉歯物件が無事だったとしたらどうなるんだ。そもそもこの点でヒューザーでなく姉歯への詐欺を問うのは不可能に近い。

一部で公文書偽造でいけないかとの声もあったが姉歯の「作品」は私文書だし姉歯は私人だから無理。私文書偽造罪は「他人の」文書を改ざんしていないとダメ。姉歯が手を入れたのは姉歯本人の文書だから。
いくら過去のThe Beach Boysの曲にそっくりでも作曲がBrian Wilsonならばパクったことにならない。それと同じだ。いや違うか。いずれにせよ手が出ない。

いっそのこと内乱罪はとも思った。「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱」と言えぬでもない。何しろテロ行為に近いから。でも続く「することを目的として暴動をした者」では明らかにないから無理だ。無理だとはわかっていたが無理だった。でも「暴動」が「暴走」だったら・・・・

破壊活動防止法はどうだろう。「騒擾、放火、殺人、強盗等の暴力主義的破壊活動」では明らかにないな。そもそも造ることで破壊活動をするとの概念がない。いつまで経っても役に立たない法律だ。
もしやとテロ対策特別措置法を読んでみたがサッパリだめ。姉歯のやったテロ的行為に「テロ対策」と冠する法律はまったく見当違いである。

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