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2005年12月 1日 (木)

生活保護費を政争の具にするな

いわゆる「三位一体の改革」とやらで生活保護費の国負担を削減をもくろんでいた厚生労働省の担当者よ。対象から最後に外された。ガッカリしているようだが本当はよかったようなものだ。あなた方は人殺しになるところだったのだよ。
官邸から課せられた5040億円の削減ノルマを達成するには生活保護費しかないと報道されてきた。本当にそれしかないとは到底信じられなかった(事実としてそうでなかった)が百歩譲ってそうだとしたら断固拒否すればよかったのである。それを官邸の一存で「断念」というからアベコベだ。
朝日訴訟以来、生活保護の問題はさまざまに論議されてきた。それらはまだまだ解決していない。それを放り出して保護費を現在の4分の3から2分の1に減らして基準設定は都道府県や市に任せるから厚労省は事務委任つまり「頼むぜ」の一言だけにするとの発想はあまりにも弱者をないがしろにしていた。

現在の受給者がどれほどの思いで生活保護を受けているのか知らないわけではあるまい。いや知らないか。国と地方といったって結局は定年まで身分保障されている公務員同士だから受給者に転落する者の悲哀などわかるまい。
机の上に100円玉を並べて今日は何に使って何をあきらめようかと悩んでいる人。福祉事務所からの心ない「調査」で身も凍る思いを味わっている人。「あの人は生保なんだって」との近隣の白い目にさらされて文句一ついえない人。働きたくて働きたくて仕方ないのに職がない人。だから他に頼るものがないので忸怩たる気持ちで人生をひっそりと過ごしている人。やけ酒さえ取り消しの対象になるのではと煽れない人。もう気の毒で気の毒で涙が出てくる。

生活保護受給者は何もせずにヌクヌクやっているとの非難は根強くある。少数そうした人はいるかもしれない。ただヌクヌクやれるほどの金額ではそもそもない。甚だしきは保険料など何も支払っていないと誤解している人がワンサカいる点である。
国民年金の受給額と生保の額を比較して云々する人もいる。しかしお互いに貧乏なのだから相手を非難するより前に制度自体の矛盾を突くべきであろう。
例えば生保の8種類のうち医療扶助はいったい誰が最終的に懐に収めているのか。本来はそうしたところにメスが入れられるべきである。

基準設定権が都道府県や市に移動していたら今より一層厳しい調査となったはずだ。予定されていた財源委譲と今後の高齢化の進展を合わせて考えれば明らかだ。朝日訴訟の昔に戻ってしまうぞ。住宅扶助のすべてが委譲されれば現在でもしばしば起こる賃貸アパート暮らしの人の「調査」が厳しくなるに決まっている。

だいたい今でさえ生活保護を受けてしかるべき境遇にありながら受けられない人が多数いるのだ。身体などに障害がなければ、否、多少あったにしても失業者の場合は65歳以上でないと受給は困難である。どんな合理的な理由があって就職活動の失敗例など具体的なデータがあってもダメである。
1960年代頃からの高度成長で都会に出てきて建築・土木作業で生計を立てていた当時の若者で高齢化を理由に職を失っている人が多数いる。彼らは単純作業しか経験がないので他に職を求めるのは難しい。
その彼らを安価な労働力として高度成長はあり得た。そうした人が65歳までどうやって生きていけというのか。山谷に行けって?あそこの宿泊代は今いくらか知っていてそんな冷酷な口をきいているのか。
今日あるを支えた労働者が使い捨てられた。それは資本主義の原則として仕方がないかもしれないし自己責任でもある。ただ文字通り捨てててはいけない。国家が国民の生命を守るのは定義であるからだ。

ホームレスの多くは上記のような建築・土木作業員だった。なかには相当高度な熟練労働者もいる。彼らでさえ職はない。そして多くが生活保護受給を望んでいないのが小誌の調べですでにわかっている。
「生保で養われるほどオレは落ちぶれてはいない」という矜持がある者や、逆にいったん生保を受けたがあまりの仕打ちにホームレスの方がまし!との結論に達した者もいる。

要するに生活保護制度はつらい思いで受給している大半の受給者と受給を望んでも年齢制限に引っかかってカスミを食って衰えていく者と矜持を胸にホームレスになってさえ受けまいとする者があって成り立っているのだ。これで近代国家なのだろうか。憲法が保障する生存権はどこにあるのだろうか。
怖いお兄さん達が背景にあるとみられる組織がこうした問題点を逆手に取って1ヶ所の住民票のありかにホームレスをギューギュー詰めに集めて生活保護費をむしり取るような事件も起きている。

削減反対の地方6団体は強行するならば06年4月から受給申請の受付をしないとの方針で押した。
削減反対自体は私は正しいと地方6団体を支持するが受給申請を受け付けないといった発言は結局ここまでいえば妥協や撤退が成立するだろうとの読みがあったにせよ、すべきではなかった。身代金目的誘拐のようで不道徳だからだ。万一強行されていたらどうなる?今度は地方が人殺しの汚名をかぶることになった。

それにしても生活保護という最低限の安全網を政争の具とするなど寒々とした光景だ。弱い者は死ねというはジャングルの掟を思い出せというに等しい。人もしょせん野性動物の一種だから弱肉強食だと。それは真理ではあろうが「それを言っちゃあオシマイ」である。「私たちは獣だ」と認めたら人として生まれた意義はどうなってしまうのだ。

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