« 首相の大相撲パフォーマンスをネチネチ分析 | トップページ | 生活保護費を政争の具にするな »

2005年11月30日 (水)

西村真悟と栄一と共謀罪

民主党の西村真悟衆議院議員が自分の法律事務所にかつて勤めていた元職員の「示談屋」活動を、そうと知りながら弁護士の名義を使わせていたとして弁護士法27条「非弁護士との提携の禁止」違反容疑で大阪地検特捜部と大阪府警に逮捕された。同法77条によると「2年以下の懲役又は百万円以下の罰金」である。
ずいぶんとチンケな罪で捕まったものだ。最近は強制わいせつ罪や覚せい剤取締法違反など政治家にあるまじき?罪での逮捕が相次いだが西村容疑者もその1人に加わった。
これで贈賄で逮捕される議員が出てきたらダウンサイジングも究極となろう。乞うご期待。

普通はこの程度だと弁護士会が抗議することもしばしばだが今回はまったく音なし。お前なんか弁護士仲間じゃないとも言いたげだ。

形式犯とも言えなくはない逮捕に大阪地検特捜部と府警警備部(つまり公安)というコワモテが乗り出したのはなぜか。当初西村議員が拉致議連との絡みで疑いを全否定していたので特捜がトサカに来てしまったか。
むしろ本筋は組織的犯罪等処罰法違反にあろう。元職員は右翼くずれで既に同法の「犯罪収益の隠匿」容疑で逮捕されている。
同法は2000年に施行され「犯罪収益の隠匿」に対応する西村容疑者への容疑は「犯罪収益の収受」となる。3年以下の懲役もしくは罰金だ。弁護士法違反容疑よりも重い。

報道で読む限りでは「犯罪収益の収受」は確実なようだ。不可解なのは飛ぶ心配のないホシである西村容疑者をなぜパクったかだ。前述のように否定していたのでトサカにきた特捜が「証拠隠滅の恐れあり」としたか。まあそう取れば取れなくもない。
でも組織的犯罪等処罰法で国会議員をやりたかった動機にきな臭さを感じもする。それは同法改正で先の国会でも話題となった共謀罪の存在だ。バッジをパクっておけば同法の意義も浸透するとの計算はないか。
といって西村容疑者を擁護する気にはまったくなれない。交通事故などでの「示談屋」など振り込め詐欺のそれと変わらないほど悪質で人の弱みにつけ込む悪党だからだ。そんな男から上納金を納めさせていたのだから弁解の余地はあるまい。
検察や公安にこの上ないごちそうを与えてしまった、というか自らごちそうになってしまった脇の甘さは度しがたい。

それにしてもねえ。西村容疑者はずいぶんと苦労して弁護士資格を手にしている。父は民社党2代委員長の西村栄一。1浪して京都大学法学部に進学。意外と優秀なお坊っちゃまなのだ。だが卒業後神戸市役所勤務などを経て司法試験突破は34歳。1993年に衆議院議員に初当選するまで約8年間は弁護士だった。
ただし弁護士は弁護士法30条の規定により国会議員と兼務できる。苦労して得た資格がもったいなかったのかなあ。にしても非弁活動に手を貸したらどうなるかぐらい、それこそ弁護士だからわかって当然のはず。

彼は右翼的で過激な言動で注目された。それに賛同する者も意外といて2005年8月15日午前10時18分には「日本真悟の会」約800人を連れて靖国神社にやってきた。
小誌取材班によると当初は「何者だ」と殺到しかけたが西村議員とわかると「何だ西村か」と潮の引くように報道陣は離れていったという。
つまりそうしたポジションなのだ。過激な言動、熱狂的な一部のファン、なるべく交流を避けたいとする大多数。そうしたなかで西村容疑者は一種の孤立感を深め、より過激になり、より熱狂的ファンを信じるようになったのかもしれない。「示談屋」の元職員もその1人だったのでは。

彼の言動は父・栄一の思想と相当に重なる。3男だった真悟容疑者は父が44歳の時に誕生し真悟容疑者23歳の時に父が没している。
栄一といえば1953年、右派社会党時代に吉田茂首相に「バカヤロー」と言わせて衆議院を解散させた張本人であり1960年の民主社会党(後の民社党)結成に参加して67年から2代委員長を務めた。戦前は社会民衆党や社会大衆党に籍を置いた。
要するに片山・芦田政権以外ほぼ一貫して野党ではあったのだ。ただ社会民衆党、社会大衆党は時代がそうであったといえばオシマイだが満州事変を肯定し、2.26事件を賛美し、日中戦争を肯定した。一方で反共では一貫していたし庶民の党ではあろうとした。
西村委員長時代の民社党も出て行った先の社会党やようやく台頭してきた公明党と激しくやり合いつつも一方で共闘関係を組もうともした。

外交面ではタカ派、内政面では庶民重視の反共、ポジションは野党といったところが父子ともに似ている。とくに先の大戦の驚くほどの賛美の姿勢は社会民衆党、社会大衆党のそれを想起せざるを得ない。遅くに生まれ早くに失った父の生き方を追いたかったのではないか。
ただし父が政局において寝業師的な一定の存在感を発揮したのに対し子の扱いは道化師じみていた。大東亜共栄圏への夢は父にとっては良くも悪くも同時代のリアルな課題であったに対して子のそれは空想と父への憧憬の域を出ていない。
反共も子の時代にはテーマとして政局を揺るがすほどではなくなった。彼はソ連崩壊後に国会議員になっているのだ。
まあ「残念」といったところかな。

|

« 首相の大相撲パフォーマンスをネチネチ分析 | トップページ | 生活保護費を政争の具にするな »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 西村真悟と栄一と共謀罪:

» 西村議員に組織的犯罪処罰法を適用すると検察明言〜万国のキャバクラ嬢よ、立ち上がれ! [情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士]
西村議員が逮捕された。【特捜部は西村議員が鈴木容疑者の違法行為を認識した上で「名義貸し料」を受け取っていたとすれば、犯罪収益の受け取りを禁じた組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)の疑いで立件することが可能と見ており、今後、押収資料などの分析を進める。】構えだという(朝日新聞)。 前にも指摘したが、弁護士活動に伴って犯罪収益収受で立件することは問題が大きい。 そもそも、本件のような事案が、「組織的犯罪」処罰法が予定した事案�... [続きを読む]

受信: 2005年12月 1日 (木) 07時31分

» 不祥事が続くと対応も迅速になる民主党っ! [やっばり言いたい中年のひとこと日記]
民主党 辞職勧告へ 不祥事続き迅速対応 (高知新聞:2005年11月30日) 高知地検が連座制適用に向けた「百日裁判」を申し立てたのを受け、民主党は29日、五島正規議員に辞職勧告する方向で検討に入った。近く党幹部が五島議員から直接事情を聴き、処分を最終的に決める。民主党では西村真悟衆院議員(同日除籍)が弁護士法違反で逮捕されたばかりで、信頼回復を急ぐには「迅速な対応が必要」(幹部)と判断した。 前原誠司代表は29日の記者会見で「(五島氏の政策秘書らによる)運動員買収の重さは覆しよう...... [続きを読む]

受信: 2005年12月 5日 (月) 19時05分

» 西村眞悟事件 [「おれ雑」exclusive]
『きょうは、予定を淡々とこなしていきたいとおもいます。皆さんごくろうさん!』と報道陣に話すと、迎えの黒いクラウンに乗り込む西村議員― 西村眞悟衆院議員(民主党比例近畿ブロック)の法律事務所をめぐる弁... [続きを読む]

受信: 2005年12月 6日 (火) 16時18分

» 「バカヤロー」 [Authentic=ホンモノ?]
昭和28年の2月28日、衆議院の予算委員会のことでありました。 西村栄一議員(西村真悟のお父さん):首相は国際情勢を極めて楽観しているようですが、どのような根拠にもとづいてのことなのでしょう? 吉田茂首相:アメリカのアイゼンハワー大統領もイギリスのチャーチル首相も同様の見解を持っています。 西村:私は欧米の政治家の意見を聞いているのではない。日本国首相として答弁されたい。 吉田:私は日本国総理大臣として答弁したのである。(明らかに西村が喧嘩を売っていることが分かってきたため、やや語尾が震... [続きを読む]

受信: 2006年2月28日 (火) 12時17分

« 首相の大相撲パフォーマンスをネチネチ分析 | トップページ | 生活保護費を政争の具にするな »