« 国旗・国歌論争最終解決案 | トップページ | ドラフトのくじ引きは人道に反する »

2005年10月 8日 (土)

自民党総裁選にも劣る連合会長選挙

◎高木剛
東京大学法学部卒業後、業界トップの旭化成に入社。2年後に労組の専従になる。1980年から84年までタイ日本大使館一等書記官。88年に民間最大の産業別組合であるUIゼンセン同盟の前身であるゼンセン同盟の書記長。1996年より会長。

◎鴨桃代
淑徳大学で福祉の勉強をして卒業。生後まもない長男を難病で失う不幸に見舞われるなどするなかで保育所勤務などの後に1989年から個人でも入れる労働組合「なのはなユニオン」結成に参画、後に委員長に就任。2002年にパートや管理職でも個人参加できる日本初の全国組織「全国コミュニティ・ユニオン連合会」(全国ユニオン)の会長に就任。

(※経歴は日外アソシエーツWHO'S WHOおよび朝日新聞05年10月7日付、読売新聞02年11月30日付記事による)

リストラ、不規則勤務、過労、賃下げ、サービス残業、裁量労働制の進行などが進むなか、労働者の代表としてどちらが適切かはいうまでもなかろう。
その代表を選ぶ連合(日本労働組合総連合会)の会長選が6日行われ高木氏323票、鴨氏107票で高木新会長が選出された。これを鴨氏の予想外の大健闘と称えるあたりに労働運動の時代遅れが痛いほどわかる。

高木新会長の経歴を改めて見てもらいたい。彼はそもそも労働者なのだろうか。東大を出て一流企業に就職。長い専従期間を経て最大級の労組のトップ。外交官の経験まである。人となりは知らないが今の労働環境にビビッドに反応できる経歴とはとても思えない。89年結成の連合には当初から幹部として参加していたわけで労組全体の組織率が20%を割った責任者の一人である。

対する鴨氏は前記読売新聞の記事によると全共闘世代という。私個人としてはあまり好きな世代ではないがこれまでの労組が救えていなかったパートタイマーなどを組織して3300人の組織にまで積み上げた人物の一人であることは間違いない。先述のような厳しい環境に置かれている労働者団体のトップには少なくとも高木氏よりは適任であろう。

ところが連合の会長選挙は当初は選挙になる予定だったのを「話し合い」によって高木氏に一本化して無風にしようとした。密室の自民党総裁選びに酷似する。それを鴨氏が阻止して選挙になった。約80万人のUIゼンセン同盟を向こうに回しての「323対107」は確かに善戦ではあったろう。だが従前の予定通りに高木会長となった事実は動かせない。

連合会長選は「連合に会費を納める組織人員1万3000人ごとに1票が各産別に割り当てられる」(前記朝日新聞記事より)という。これまた自民党総裁予備選挙の仕組みとソックリだ。労組が自民党ソックリの制度でトップを選ぶことを何とも思わない。そして政治家ならば有利であろうピカピカの学歴と職歴・経歴を持つ人が選ばれる。これでは労働組合活動の未来はない。

そもそも労働組合運動は今や大ピンチである。前述のような劣悪環境に置かれた労働者にとって労働組合は本来「希望の星」「駆け込み寺」にならねばおかしい。ところが今や支持している民主党からも抵抗勢力呼ばわりされている。「希望の星」どころか改革の邪魔者扱いだ。それは国民一般に広がっている雰囲気でもある。そうなった責任がナショナルセンターである連合にないとは言わせない。そして高木氏は繰り返すが連合結成から中核にいた人物である。

高木氏をダラ幹とは言うまい。だが奴らが仕組んだに違いない「話し合い」路線なるものに乗っかろうとしたのは事実だ。配下にダラ幹を抱えているのも疑いない。そして彼の経歴ではダラ幹を一掃するなどできはしない。

自民党総裁選と似ていると書いたが違うところが一つある。それは自民党員が2001年の総裁予備選で本命の橋本龍太郎元首相ではなくて鴨氏と同じような立ち位置から出てきた「変人」を総裁に選んだ点である。当時の自民党は森喜朗「話し合い」首相の相次ぐ失態で人気は地に墜ちていた。「変人」は組織固めもせずに「自民党をぶっ壊す」と叫んだ。こいつの方がまだ党を何とかしてくれそうだという恐らくは直感が自分の直近の利害を超えて「変人」を選ばしめた。結果はみごとに的中している。

要するに連合組合員は小泉純一郎候補を選んだ自民党員よりも直感が鈍いということである。劣ると表現してもいい。彼らは労組=抵抗勢力と見なしつつある国民をアッといわせるチャンスを得ながら見逃した。この選挙は単なる善戦に終わらせてはいけなかったのである。鴨氏が勝てば新聞は1面トップで扱っただろうし新しいもの好きのテレビも追随したに違いない。しかも鴨氏の方が現状変革には適した人材であったから暴挙として扱われることもなかった。

|

« 国旗・国歌論争最終解決案 | トップページ | ドラフトのくじ引きは人道に反する »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 自民党総裁選にも劣る連合会長選挙:

« 国旗・国歌論争最終解決案 | トップページ | ドラフトのくじ引きは人道に反する »