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2005年10月15日 (土)

国民生活金融公庫だけは残すべきだ

8つの政府系金融機関の統廃合の議論が始まった。小泉首相は「できるなら1つがいい」と発言し竹中平蔵経済財政大臣(というか銀行クラッシャー)も賛成の模様だ。
また賛否どちらからも無反応に違いない持論を吐く。私は「できるなら1つがいい」ではなくて「国民生活金融公庫だけでいい」との考えだ。これをなくと新たに起業する人達はなけなしの預貯金をスルか街金から借りるか最近大銀行がやりだした「銀行系街金」の餌食になるかしかないからだ。

起業は大きく2つにわかれると思う。1つは「もうけるため」である。その際の手段は選ばないから近年「金融ビッグバン」とやらのお陰で広がってきた直接金融に活路を見出したり金融業自体に乗り出せばいい。この意味での起業チャンスは広がっている。

もう1つは「やりたいことをするため」の起業だ。私の場合はそれに相当する。零細でもいいから好きなこと好きにやって御飯が食べられればいい。それならばリーマンでもいいじゃんと反論されそうだが少なくとも私はダメだった。私は「マイノリティーや弱者のあり方を取材・編集してイデオロギー抜きで文字として世に問いたい」ということだけが願いである。それさえやらしてくれればサラリーは本当に御飯が食べられるだけでよかったのに。比較的許されそうな大手マスコミ2社に務めたがかなわなかった。だったら自分でやるしかなかった。

起業した時点で私がかろうじてできるのは取材・執筆と編集、校閲ぐらいで営業の経験もなければ会計などまるでわからない。「マイノリティーや弱者」だけを対象にするのが大手マスコミでさえ許されないのは、それでは売れないからであって、したがって私のしようとしていることは商売上がったりになるのは目に見えていた。
そんな中でも営業を始め、会計もどきを覚え、社員も雇い、事務所も借り、とやってきたのは「やりたいことをするため」に必要だったからだ。うかつなことに出版社を名乗れば出版できると思い込んでいたが取次様との取引コードがないと書店様におくさえままならず何年もかかってやっと手に入れた。そんなこんなをやっているうちに肝心の「やりたいこと」が自分ではできないという悪循環に陥って今日に至る。世はままならない。

起業時点で話を戻すと事務所を借りて必要機器をリースして・・・・ぐらいで早くも手元資金はショートした。そこに立ち現れたのが詐欺師と街金である。誰も知られていないはずのわが社に彼らはひっきりなしに来る。街金は撃退したが詐欺師には引っかかった。「オレは詐欺師にはなっても詐欺師に引っかかることはない」と自負していたが他愛なくやられた。こうなるともうカネがないどころではない。といって街金に頼ったらアウトだ。

ここで救世主のように見出したのが国民金融公庫(当時。現在の国民生活金融公庫。略称「国金」)だった。無担保低利で500万円貸してくれたのだ。あれがなかったらお仕舞いであった。

当時十数行あった都市銀行や長期信用銀行は論外だった。「実績がないと貸せない」という。起業時点で実績があったら変だろうよ。「担保は」というから「担保はオレだ」と言ったら変な顔をされた。それでも借りたことはある。だがそれは信用保証協会の保証付きの融資であり、なおかつ連帯保証人に代表取締役たる私の個人名を必要とした。シャイロックもかくや、どころかシャイロックが神様に思えるほどの仕打ちだ。
信用保証協会の保証付きなのだから既に担保は押さえている。リスクを取るどころかノーリスクだ。その上私個人の連帯保証を求めるということは株式会社の有限責任原則を無視している。十数行の都市銀行・長期信用銀行の前で「お前ら皆つぶれてしまえ」と叫んだ。想いは通じてクラッシャー竹中がガンガン減らしてくれた。ざまあみろ。
と思っていたら今度は「銀行系街金」を始めた。利息制限法の範囲内で貸すのは出資法の上限で貸す街金よりやさしいようでヤクザなことは違いない。だいたい不特定多数から、あるいは日銀の当座口座からタダ同然で仕入れたカネを何%の中位から十何%で貸して返却を求めるなどとんでもない悪行である。

その間も国金は借金を返し終えそうなころから追加の借金を受けてくれた。現在、国金の経営状態が悪いと聞くと胸が痛むが返すべきは返してきた。「やりたいことをするため」の起業は私と同様に最初から零細を覚悟しての「志」の会社が多い。だからつぶれて国金を焦げ付かせることも多々あろう。だがそれは社会的意義のきわめて高い行為に対する許されるべき範囲ではないか。

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