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2005年10月17日 (月)

イスラエルとパレスチナ

①敵は信用できない
②敵を信用するか撲滅しない限り、敵は敵であり続ける

この2つの命題はいずれも正しい。①に関しては、そもそも「信用できる敵」という概念が成り立たないので正しく、②は戦いを終わらせるには、敵を交渉相手と見なして、つまりある程度信用して和平条約を結ぶか、1人残らず撲滅するしか敵対関係は終わらないのは自明なので、やはり正しい。
イスラエルとパレスチナの対立は、この2条件にみごとにマッチし、その矛盾や比重の置き方が変わっただけで、行きつ戻りつしている典型例である。

まず①の「敵」の定義である。『広辞苑』によると、「敵」とは、「自分に害をなすもの。かたき。あだ」「戦いの相手」とある。イスラエルとパレスチナの関係はその通りだが、それだけでは数多くある紛争の中で、この関係だけが延々と敵対し続ける理由とはいえまい。

『広辞苑』にはさらに「敵」の定義として、「自分と対等なもの」とある。ここにヒントがありそうだ。

「よい戦争」という概念は、戦争行為そのものを悪とみなす立場では成立しないが、現実には存在する。第二次世界大戦は民主主義(よい)対全体主義(悪い)の戦いとされ、湾岸戦争はクエートを侵略したイラク(悪い)対クエートを救出する多国籍軍(よい)という構図が作られた。「よい」側から見れば「悪い」側は「悪い」にすぎず、決して「自分と対等なもの」ではない。
しかしイスラエルとパレスチナは広く知られているように、その地域を植民地としていた英国のいわゆる「二枚舌外交」の結果もたらされた対立であり、イスラエルを主として構成するユダヤ人にもパレスチナ人にも「対等」な主張(大義)があり、当事者はともかく国際社会はどちらかを「よい」とはしにくいという背景がある。この辺が一般の紛争より「敵」の度合いを深めている理由だ。

次に②のうち「敵を信用する」ができるかどうかが和平の一つのヤマだが、前記のように敵の質的な度合いが高い両者は、それゆえに「敵は信用できない」思いが強く、「信用できないが信用すべきだ」という論理的矛盾に陥る。それを乗り越えようとしたのが93年の「オスロ合意」だった。イスラエルに隣接するヨルダン川西岸とガザ地区でのパレスチナ人による暫定的な自治を実施するという。

イスラエルとパレスチナの対立がそれぞれの国家を持つことでしか解決しないことは明らかなので、パレスチナ人が国家をもつことをイスラエルが承認し、イスラエルの支配地域への暴力行為をパレスチナがやめることでしか紛争解決の方法はない。
それが唯一の解決方法だということをイスラエルとパレスチナのほとんどの人は知っている。それでも「信用できない」をぬぐい去ることが双方ともできないので、パレスチナはイスラエルの警戒心から生じる動きに怒り、その怒りの表出ともいえる自爆テロなどの行為をみてイスラエルはパレスチナ人はやはり「信用できない」から、隣に彼らの国家ができることを警戒するという悪循環が断ち切れない。

②に示した「撲滅」が論理的にできないというのも紛争が続く理由だ。第二次世界大戦では日本は敗北し、多くの植民地を失った、日本人が全員殺されたわけでもなく、国家が消滅したわけでもなかった。だから戦争を終わらせることができたともいえる。
しかしパレスチナはもともと国家をもたないので、彼らの国家を認めずに屈服させるには、「国民」そのものを1人残らず抹殺するしかない。しかしそんなことはできっこないし、すべきでもないことは、自らがナチスドイツの抹殺対象になったユダヤ人自身が一番よく知っている。
一方、パレスチナ人にしてみれば、国家を認めないイスラエルの行為は、必然的に「撲滅」を意図していると疑い、どうせ根こそぎ殺されるならばと、自らの死を前提とする自爆テロを繰り返しているとも推察できよう。人は誰でも死にたくない。それでも死を選ぶとすれば、死が必然かつ目前にあり、「よい死に方を選ぶ」ことしか「生きる」意味を見出せなくなった時だから。

ここまでこじれてしまうと、おそらく当事者間での解決は不可能。となると誰かが仲介するしかなく、それがアメリカしかあり得ないのは衆目の一致するところだ。欧州はそもそもの対立の元を作った当事者という過去があり、周辺のアラブ諸国ではイスラエルが納得しない。
しかし消極的とされたブッシュ政権がこのところ和平に力を入れ始め、シャロン政権からガザ地区の入植地撤退という果実を得たにも関わらず、イスラエル国内からは不満が噴出し、またヨルダン川西岸の入植を引き替えに守るとのイスラエルの姿勢が「敵は信用できない」思いを一層パレスチナ人に募らせている。

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