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2005年10月21日 (金)

なぜ注文本がすぐ届かないか

会社のホームページをリニューアルした。今後は小誌の過去の記事など面白そうなものからピックアップしていく予定なのでどうぞご注目を。アドレスは

http://www5b.biglobe.ne.jp/~astra/

同時に小社刊の単行本もぜひお買い求め下さい。全国有名書店でお買い上げいただけます。ネットショッピングも可能です。在庫は十分すぎるほどあります。それどころかさらに膨らむ傾向すらあり空恐ろしい。全国の書店から豆粒のような小社に向けて放たれる返品の弾丸。止める術は今のところない。

好きな言葉:注文
嫌いな言葉:返品

というのが私の信念である。我ながらベタな信念だなあ。書籍は委託販売が主なので注文があったからといって売り上げたとは限らない。だから注文で売上を推計するしかないのだ。最近は書店の実売をネット上で確認できるサービスが一部で始まった。画期的ではあるのだがサービス料金が高いのが難である。

本を注文してもなかなか届かないという経験が読者諸賢にはないか。この原因はいくつかあるが版元(出版社)の都合で一番大きいのは重版するかどうか経営者が深ーーく悩んでいる場合である。

我が社だって稀には注文が殺到するようなことがある。断っておくが返品ではなくて注文である。さっそく重版してバンバン売ればもうかるじゃあないかと思われよう。ところがそうも行かないのだ。

先に述べたように注文は売上とイコールではない。最近の傾向として新刊から売れていく。上手に書店営業をやり果せれば我が社の本でも平積みになる。そこで売れないと面出しに落ちる。それでもダメだと棚差し1冊になる。そしてやがてゼロになる。このやせ細るさまを見るだに私は落ち込んでいくわけである。書店にある我が社の本がやせ細るということは我が社の倉庫の在庫がグングン充実していくことと正比例するからだ。

ところが出足の売れ行きが好調だったり既刊本でも何かの拍子で脚光を浴びると一挙に注文が来る。ただこの好調さがどれくらい続くか書店様にさえわからない。だからだいたいの見込みで注文いただく。それが全国から集まると在庫を超えてしまうことがある。ここまではうれしい。だが超えた後が問題なのだ。
好調さがさらに続くとわかっていれば重版して補う。だがフィルムを流用して最短で刷っても2週間以上はかかる。それまでに好調さが止まってしまったり逆流して返品状態に陥ると重版=在庫という最悪の結果となる。しかも重版した以上は著者に印税は払わなくてはならないし何より印刷屋さんへの払いが生じる。だからギリギリまで見極めようとするが、あまり見極めていると品薄が好調の腰を折って返品状態を生んでしまうから本当に難しい。
好調トレンドのまま重版を間に合わせたとしても同時にそれは返品のボリュームを膨らませただけという危険があり津波が襲ってくる覚悟をしなければならない。これで倒産した出版社も珍しくない。

本物のマーケティングというのはこの辺をみごとに射抜く能力なんでしょうね。でも小社の本は売れ筋を追ってはいないので在来のマーケティング手法を用いてもなかなか通用しないのである。そんな専門出版社は数多くあるのだ。

いずれにしても取りっぱぐれがないのが印刷屋さんである。究極の受注産業である彼らはメーカーである出版社の無理難題をたいていは聞いてくれる。そこで見られるのは「偉い版元とヘイコラしている印刷屋」の図式だ。
だが人に頭を下げる仕事をきちんとやれる印刷屋さんはその分だけ取りはぐれがない。重版が売れても重版=在庫になっても印刷・製本代は同じだけ請求できる。その意味で版元の偉さは空元気に過ぎず印刷屋さんのヘイコラはこれぞ商人の鏡だといえよう。毎年小社の決算書類を見るたびに「本当の勝者は印刷屋さんではないか」と思うのである。

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