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2005年9月19日 (月)

QUEENという名の商売

「WE WILL ROCK YOU」という名のミュージカルが新宿コマ劇場でやっていた(05年5月27日から8月24日まで)。S席12,600円、A席9,450円 で全席指定の超強気路線でバックに日本テレビが付いていた。
コマ劇HPの惹句によると「本作品はQUEENのメンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが構想、ステージデザイン、全役者とミュージシャンのオーディションに至るまで全面的に監修。まさにQUEENによるQUEENのミュージカル」だったそうだ。
この「構想」「監修」というのがわからなくて結構調べた。結論からいうとBrian May自身はこのミュージカルには参加しないということであり、荒唐無稽の筋書きと相まって観にいかなかった。

いくら「構想」「監修」なるものがあったにせよ故Freddie MercuryもBrianもいないのに「QUEENによるQUEENの」はだまし討ちであろう。

などと思っていたら今度は10月25日から11月3日まで「QUEEN来日」だという。今度はBrianもRoger Taylorも来るが(John Deaconは引退だそうな)死人のFreddieは来るはずもない。戦死じゃないから靖国神社から呼び出すこともできないし。
今度のバックはフジテレビ。「新生クイーンとして20年ぶりの来日を果たす」んだって。でもFreddieはあの世。どうするのかと思っていたら「QUEEN+Paul Rodgers」と来た。05年3月から英国でライブ活動をしていて9月14日には「RETURN OF THE CHAMPIONS」というライブアルバムが発売された。
まあ聞くしかない。ライブである上に新曲はないから正規の「QUEENのdiscography」には加えられない。アルバム発売自体もフジテレビの商魂の影が感じられなくもない。

で来日して聞く価値があるかというとありそうだ。ただし「新生クイーン」ではない。正確には「QUEEN-Freddie Mercury+Paul Rodgers」でしょう。

Brianが「オレがいればQUEENだ」といいいたい気持ちは理解できる。QUEENの誕生の過程を振り返っても彼がギタリスト、作曲家、ボーカリストとして果たした役割を考えても自負するのはわかる。

一方のPaul RodgersがFreddieの代役として適切かというと適切どころかよくこんなフェイクな役割を引き受けたと驚くほどの大物だから文句はない。Free時代にALL RIGHT NOWを大ヒットさせたのは1970年でQUEENの出世作BOHEMIAN RHAPSODYのヒットした75年より5年も早い先輩だ。その後も泣かず飛ばずでは決してなくBad CompanyでもCAN'T GET ENOUGHの大ヒットがある。この時点でBad Company自体がスーパー・グループとみられていたわけだから偉大さが知れよう。
ボーカリストとしてのPaul RodgersはあのRod Stewartが「イギリス最高のシンガー」と激賞した才能の人物だ。サザンロック風にリズム&ブルース系を伸びやかに歌わせたら右に出るものはなかなかいない。ちょっと演歌のこぶし回しのような芸がある。倍音の揃いが美しく衰えは感じなかった。「RETURN OF THE CHAMPIONS」を聞いた第一印象は「Paul Rodgers節を楽しめた」であった。ALL RIGHT NOWもCAN'T GET ENOUGHも入っていたし。これでQUEENですかね。

ただFreddieの代わりとなるとどうか。リズム&ブルースっぽさでは共通してもFreddieは音質が加藤典洋の言葉を借りればタイルのように「つるつるしたもの」に類する。対してPaulはオーク材のようなどっしりさとしなやかさが魅力だ。
何よりもQUEENが誰かさんそっくりバンドと揶揄されBrian自身もある人の物まねとみなされていたフェイク感あふれるバンドであり、そこがまた魅力でもあったのだがPaulはバッチリ本格派である。でもその組み合わせもまたフェイクだとしたら合格点か。

さて前述の疑問。堅実で地味とロック界にあるまじき(?)人格とされるPaulが何でまたQUEENなのか。案外と本人はBad Companyと同じスーパー・グループのつもりなのかもしれない。
もう一人の主人公であるBrianは先ほど書いたように何でもできる。でもEric Clapton のようにバリバリのソロでは行けない。かといって「Brian Wilsonさえいれば他が死に絶えてもThe Beach Boys」(ファンの人ゴメンね)とまでも行かない。「ものすごくレベルの高い器用貧乏」ともいえよう。
それにしてもFreddieなしでも商売になる日本市場ってのは何なんでしょうね。コマの近くに銅像作ったんだって。変なの。

そうそうClaptonといえば昨年末に来日していたが今年5月にCreamを再結成してロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでライブをしたという。こっちはGinger BakerとJack Bruce という旧仲間の救済と伝わる。ワンパターンしか歌えないClaptonがその素朴さゆえに泣きまくりのギターと相まってソロでうまくいったんだから世の中わからない。Brian Mayも意外ともう少し歌が下手だったらソロで大成功していたのかな。

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