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2005年9月 2日 (金)

小泉が先かマスコミが先か

マスコミがブームを作るのか。ブームをマスコミは追っているだけなのか。

小泉ブームである。くノ一だ刺客だホリエモンだカリスマ主婦だ改革の本丸だなどと1つ1つを吟味してみればどうでもいい現象をおもしろおかしく報道しているうちに「小泉=改革者」というイメージが定着してしまって当ブログに書いたような民主党のていたらくも手伝って自民圧勝の雰囲気である。

それを後押ししているのがマスコミであるのは間違いない。これをもってマスコミがブームを作っていると評する向きがある。一理なきとはしないが違和感があるのは事実だ。
例えば投票前から当確を打ってもいいような福田康夫候補がいる群馬4区と聖子ちゃんvsゆかりタンの岐阜1区のどちらに報道する価値(ニュースバリュー)があるかと考える。もちろん視聴者や読者がほしがる情報がどちらかという観点である。となるとどうしたって後者ということになろう。

9月1日の朝日新聞は社会面トップで綿貫先生の選挙を取り上げていた。先生の富山3区は福田候補の選挙区とともに本来ならば何のバリューもない。綿貫先生の金城湯池だからだ。しかし先生のおとこ気でさざ波が立ち始めた。だからバリューを持ち始める。
こうした意味ではブームをマスコミは追っているだけともいえる。古舘伊知郎キャスターが報道ステーションで民主党に小泉流の仕掛けに同党は少なくとも実質的な選挙戦の前半はしてやられたのではないかと迫っていたがマスコミ側にいるとそうみえる。仕掛けに乗って大衆が動き始めた。それを受けて立ったりすかさず打ち返したりできなかった民主党は何なのかと。これはあくまでもマスコミはブームを追っているだけで小泉ブームを自らが作り出しているのではないという自負心からであろう。

だがこの論理は実はタマゴが先かニワトリが先かというのに等しい。

昭和天皇の不例の際にお祭り・イベントの主催者に自粛ムードというのが漂い始めた。これ自体は大衆による自発的ブームであったといっていい。そこでブームを追うマスコミは取材を始めた。例えばイベントを企画している商店街などに取材をするのである。すると最初は自粛も何も考えていなかった人達から「やっぱり自粛した方がいいんでしょうかねえ」と取材者に逆取材される。むろん取材者は答えられようもなく答える立場にないと告げる。だが彼らの多くはその後に何らかの自粛を行った。かくして全国規模に自粛ムードは広がりをみせることとなる。

この現象は「マスコミがブームを作る」とも「ブームをマスコミは追っているだけ」ともいい得る。「天皇の御不例に自粛は当然だ」と考える人がいることはおかしくない。そうした行為は「天皇不例」という大ニュースに付随する出来事として取り上げるバリューがある。だから取材者はそうしただけだ。だがその報道に接して何も考えていなかった人まで悩み始める。当初に自発的に自粛を始めた人は天皇への尊崇の念が人一倍高いなどの理由が確固としてあったのだが「自粛ムード広がる」との報道に接して自粛を考え出した人は「こうしたご時世はどうやら自粛が適当らしい」という状況対応で踏み切る。彼らをそうしたのは「自粛ムード広がる」報道そのものに原因がある。「広がる」という報道が広げてしまったのだ。

マスコミ側、つまり送り手に悪意や誘導があってブームを作り出そうというならば実はまだいい方である。深刻なのは送り手が真っ当な価値判断で取材して報道した結果が1方向で少数にすぎなかったブームを加熱させかねない危険性だ。
いったんブームが燃えさかると理屈ではなく情念となるから怖い。自粛ムードの時も「うちは一切そんなことは考えません」などとマスコミに答えたら大変な目に遭いそうな雰囲気が途中から漂った。ムードを後追いする人は確固たる理由や理念がない分だけ一層熱心に形式を追う傾向がある。元来が理念に発する行為ではないから理詰めで云々するは無意味である。

それにしても。小泉首相が推し進める郵政民営化に賛成か反対かという戦略はクラウセヴィッツが考案しレーニンが取り入れたとされる「一点突破・全面展開」そのものだし「構造改革」はかつての社会主義用語だった。首相自身が「どっちが与党か野党か分かんなくなっちゃった」(大津市での街頭演説)と言っているのだから世話はない。かつて野党の十八番だった闘志風が当の野党から消え去って保守の与党総裁が革命家のようになっている。その倒錯にマスコミも国民も付いていけない。本当は情念には情念をもって応えるのが一番の戦略だと思うのだがケンカの仕方を忘れた野党にはできない。

本当は本稿で「野党が勝つ方法」として「岡田代表が死ぬ」を挙げようと思っていた。「改革に命を懸ける」首相の情念に勝つには「弔い合戦」にまさるものはないからだ。だがこれはあくまで冗談で通じるレベルでしか書けない。叩いても逆さづりしても岡田代表は死にっこないという前提でないといけないのだ。しかし昨今のテレビ討論会やニュースでみる岡田代表は顔面蒼白で般若の風情。体力が衰えたとの妻の発言もあり冗談ではなくなったので書くのをやめた。どうぞご自愛を。

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