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2005年9月21日 (水)

松下政経塾のHPは笑えるよ

前原誠司衆議院議員が民主党の代表となった。彼とは学齢が同じ「タメ」であるから応援したいと思ったが松下政経塾出身というのが気になってHPを見て驚いた。
いやはや笑うしかない。皆さんもぜひご覧あれ。同塾は22歳から35歳のまでを対象とした歴とした大人の教育機関である。「魁!男塾」よりも年長者を育成しているのである。そこにこんな教育が必要とは・・・・

とくに楽しめるのは「カリキュラム(抜粋)」である。
1年目はまず「人間を創る」から始める。先ほど言ったように大のおとなが「人間を創る」んだってさ。じゃあ今まで何を創って来たのかいな。

・松下幸之助研究
松下電器産業のHP「松下幸之助物語」によると幸之助は「宗教団体の見学で、その繁栄ぶりに感嘆し」た結果として「生産人の使命について深く考えたこと」を「話した」。それは「水道の水のごとく、すべての物質を無尽蔵たらしめよう」だったという。名高い水道理論である。
彼の経営者としての能力をけなす気はない。だが「すべての物質を無尽蔵たらしめよう」は時代遅れも甚だしいと識者の多くが指摘している。その結果が何をもたらしたかは我々が日々感じている。今さら彼から何を学んでどうするのだ。

「精神修養・体力増強」には以下の課目が並ぶ。何度もいうが大のおとなが真面目に取り組むなんて信じられないことばかり。しかも「宗教団体」「の繁栄ぶりに感嘆し」た御仁の考えそうなメニューである。

◎早朝研修(早朝、塾内の庭掃除とランニングをし、規律ある一日を開始する)・・・・今時気の利いた人ならばフィットネスしてるよ。少なくとも早起きしてもすることがない編集者には関係ないな。
◎茶道・宗家研修/書道・・・・かつてあった花嫁修業か? はたまた皇族にでもなるつもりか
◎剣道・・・・警察官になるのですか?
◎坐禅研修/関西研修2(永平寺での参禅や、文楽鑑賞など)・・・・禅と文楽という脈絡のない体験で触れる「日本の伝統文化」って何さ。だいたい曹洞禅は只管打坐だから座禅で何かを学ぼうという考え方がおかしい。
◎体育/100km行軍・・・・大のおとなが「体育」だってよ。100km行軍? 防衛大学校にでも行きなさい

「現場体験実習」は大切だと思う。でもやっていることがへんてこなのだ
◎政治研究講座・・・・内容がわからないので批判は慎む
◎営林実習・・・・もはや破たんした日本の営林行政から何を学ぶのか
◎製造実習・・・・ここで来るのか水道理論
◎自衛隊体験研修・・・・何の必然性があるの

「志の確立」も「人間を創る」と並ぶ重要目標。大学出ている年齢の人が改めて志を確立しなければならないんだったら、その時点でダメ人間であろう。やることも「目標設定と活動計画の作成」「人間観・歴史観・国家観の探求」「コミュニケーションスキルの修得」など青年期に終えているべき要素がズラリ。
◎儒学講座・・・・朱子学を学ぶのか。それとも古学や陽明学も含めてやるのか。意味がないとはいわないが近世の支配層の価値観を改めて学ぶ理由を教えて
◎英会話・・・・NOVAの方がいいでしょう

これが1年目。大卒時点の私でさえ入塾した初日で爆笑して帰っちゃうぞ。それを「全寮制で、寝食を共にしながら3年間の研修を行」うというから古くせー。

だがしかし。こうしたカリキュラムが魅力的に思える人がいっぱいいて塾生の多くは前原氏が京都大学を出ているように偏差値エリートがズラリと並ぶのだから深刻といえば深刻だ。彼らはエリート大学を出ていても「人間を創る」も「志の確立」もできていないわけだ(でなければ入塾する動機もない)。要するに思春期や青年期にやっておくべきことをなおざりにして勉強ばっかりしていた人がカリスマ幸之助にすがりつくわけね。
小社から出版している『カルトにはまる11の動機』という本がある。著者は元オウム真理教古参信徒の加納秀一さんだ。その11の動機をズラッと示そう。

1)ヨーガやチベット密教に興味がある
2)絶対的存在についていきたい
3)弱い自分の内面を鍛えて克服したい
4)今の社会に不満がある
5)わずらわしい人間関係から逃れたい
6)よく生きるマニュアルがほしい
7)体験によって知識を確かめたい
8)若者組織でワクワクやりたい
9)よりよい男女関係を築きたい
10)社会と地球の役に立ちたい
11)ユートピアで共同生活をしたい

松下政経塾と同じだとはいうまい。といってまるきり共通していないともいわせない。松下政経塾のHPと『カルトにはまる11の動機』の内容を比較してみるとうそ寒いものがあるのである(と最後はさりげなく商魂)。

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コメント

随分バイアスに富んだ批判ですね。
(ちなみに私は松下とも京大とも無関係)

「志の確立」を青春期に出来ている人間が、現在の日本に一体どれだけいるのでしょう?
みんな出来てないじゃん。
いじめばっかりだし。

10代の頃は受験まっしぐらで、いい大学に行かなければならないという一面的価値観に陥った人間ばかり。そしていわゆるエリート校出身者にも、怜悧な人間など殆ど存在しないのが日本。
教養もありませんね。

松下政経塾が体育を取り入れているのが可笑しい、とおっしゃるが、そうでしょうか?「気の利いた大人なら」フィットネスにでも通っている、って言い方は鼻につくな。フィットネスとスポーツは別物ですから。(まぁ私もフィットネスに通ってますがw。)

ヨーロッパやアメリカでも、義務教育機関から企業まで、それはそれは多くの人がヨガや瞑想をカリキュラムに取り入れていますね。あと、大の大人ほど早朝に起きてジョギングしています。
エリートほどね。

松下政経塾が35歳までの人間を受け入れ、政財界への転身の機会を与えているとすると、それは(一定の年齢までしか人生の選択の機会が与えられない)日本において、むしろ画期的な試みかもしれませんよ。

以上、全くの部外者の客観的な感想です。

投稿: haha | 2007年10月15日 (月) 16時37分

今まで日本を支配した
学校ー>受験ー>大学ー>新卒ー>正社員ー>結婚ー>ローンー>年金ー>老後生活
と言う線路が笑える。
それのアンチテーゼは、アングラアーチストか、低俗アーチストか、技術職人か、事業者か。何もかも醜い日本でのあがき。
都市デザインセンス無い日本が笑える。政治の全てが笑えるが、その政治が国を指導する。その国が笑える。
その可笑しくも笑えない日本をどう変えるか、と言うと、答えは色々あるのは当然。だが、一人では変えられないし、今までの利権・癒着に陥る精神性も駄目だ。

だから、政経塾の主眼は、誠実な志を持った仲間を作りつつ、存分に自分の道を開拓する枠組みを作る事。

自分の道、高い志を持った人は、余りいない。たいはんの人が家庭主義、生活主義に留まってる。物事の見方も「迷惑かけなければいいんじゃない」、「楽しければいいや」と言うのも多い。良くも悪くもフィーリング。

政経塾は、政経の学校の理想を模索してる。自修ばかりでは仲間は産まれない。集合する場なくしても仲間は産まれない。仲間と言っても、ただ同調し合うレベルでなく(それなら普段の生活でもみつかる)、実際に高度に政治的に協力し得るレベルの仲間。

投稿: dodo | 2011年2月21日 (月) 02時57分

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