さらばニフティサーブ
2006年4月に1987年から続いていた商用パソコン通信「ニフティサーブ」が終了する。1995年の阪神大震災では新型の情報通信として有名を馳せE-MAILやチャット、データベース検索、オフ会などの先達だった。90年からのユーザであった私も感慨深い。どんなものであったのか止めておこう。
1)会員が名乗り合っての情報交換
インターネットと根本的に違うのはニフティサーブの多くは任意とはいえ実名ないしはハンドル名で会員登録をして必要ならば会員検索もできた点だ。ネットのプロバイダは原則つなぐだけの仕事だがニフティサーブはそれ自体が会員制の巨大なホームページだったといっていい。
会員検索はすでに02年 7月に終了している。個人情報保護などの成り行きであろう。逆にいうとそれまでは名乗り合った上でのパソコン通信上のやりとりに一種の安心感があったんだね。
2)電子メールの創始者
現在ではE-MAILで通っている「電子メール」のやりとりがニフティサーブ会員内でできた。ただ当時は従量制で課金され電話通話料に加えて1分10円の通信料がかかった(95年時点)。小誌1995年6月号特集での試算では10人にメールを送った場合の料金は140円。相手IDの打ち込み(これが必要だったのだ)を1人20秒と仮定しての試算だ。今考えると高いのだが当時はどんな遠隔地でも最寄りのアクセスポイントつまり3分10円の電話料金で済むというのが大いなる魅力だった。
ポケットベル(これも懐かしい)への電子メール着信通知サービスも当時は信じられないほど便利になったと感動したものだ。
3)チャットの元祖
フォーラム/ステーションが05年 3月に終了した際には皆が懐かしんでリアルタイム会議に参加したなあ。
「フォーラム」とはそのなかに掲示板あり自己紹介あり役立ちソフトのライブラリありと趣味や興味に応じた楽しい広場だった。参加の最初にハンドル名を登録すればOK。ただしフォーラムによっては審査もあった。シスオペという管理人もいて秩序が維持されていた。
そのフォーラムのサービスの目玉が「リアルタイム会議」で現在のチャットのようにあらゆる地域の人が同時に会話できるのが当時すごく新しかった。上へ上へとスクロールするのが今のチャットと大きく異なっていて会議から中座する時は「ちょっと落ちます」とあいさつするのが礼儀だった。
これとは別にCBシミュレーターという会員全員を対象にした今でいうチャットがあった。CBとは「市民無線」が語源であり無線やトランシーバを先駆とした時代の名残を感じさせる言葉だ。ちなみに無線は80年代までは新聞社でも主要な通信手段で「毎日一号から毎日ハンディ。感度ありますか。どうぞ」なんてやっていた。
自分が参加する会議室は「チャンネル」といって何人いるかなどがわかった。特定の人にささやいたりするい機能もあって好みの異性にささやいて無視されたなんて経験の持ち主も多くいよう。
4)電子マネーの先駆者
「アクセスギフト」というサービスがあった。これも05年3月にサービスを終了した。使用権などの贈呈や受領ができるサービスでシェアウェアの決済などに便利だった。今の電子マネーの先駆けといえよう
5)高かったけど便利だった検索機能
とくに新聞検索はでかかった。それまで図書館で縮刷版とにらめっこする時間がキーワードで絞り込むだけで素早くもれなく収集できる。ただし95年時点では記事数の課金ではなく1分いくらだった。見出し中のキーワード検索が1分80円で記事中が200円。それに従量制の通信料と電話料金がかかってくるから一刻も早く終わらせるために紙に入れるキーワードなどの計画を書き込み死ぬ思いで急いだ。途中で電話がかかってくると「今記事検索中と言ってくれ」と断ったものだ。
ちょっと話はずれるがこのころの日経テレコンはものすごく高かった。私が某組織(あえて名を秘す)にいた時に組織が日経テレコンを入れてくれたので私は使った。それはいいのだが切るのを忘れて帰ってしまった。翌朝というか昼というかともかく出社すると誰も気づかず着いたまま。私は青ざめた顔を察せられないようにして静かに切ったのだった。あのころは従量制だったから値段は・・・・
5)メーラー花盛り
秀Term、NifTerm、まいとーくなどが人気だった。皆ニフティサーブの特性を反映しやすい特色を競った。ニフティ本体からはニフティマネジャーがただで供給されたが当初は猛烈に使い勝手が悪かったのを覚えている。
久々にこれらのソフトを作っている人や組織のHPを見た。秀Termは「秀Term Evolution」という新ソフトでいまだに対応。さらにネット用のメーラーも発表していた。NifTermは通信終了後もNifTermライクに使えるメーラを出すらしい。コアだね。まいとーくは今は主にパソコンからFAXを送信できるソフトが主力のようだ。
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