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2005年8月22日 (月)

奇書・奇ビデオ&DVD

05年7月23日午後4時半頃に関東地方を地震が襲った。その時に私は出先にいて「たいした規模ではない」と思っていたが帰宅して部屋に入ってビックリ。そこら中に本が散乱している。私は仕事柄実に当然だが本を死ぬほど所有している。しかも整理整頓が苦手なので棚に入りきらない本を二重三重に詰め込んだり産業廃棄物のタイヤみたいに部屋中に野積み?にしてあるのだが、これが一挙に崩れ去って部屋中を覆っていた。マンションの上層階というのは思ったより揺れるものであろうか。

やむを得ず何の脈絡もなく混じり込んでしまった本の洪水をそれなりに分ける作業を開始したのだが改めて分類してみると結構面白いものがあった。近年の作品は会社の方に多く残してあるので少々古めだが「こりゃ凄いわ」と感じた「奇書・奇ビデオ&DVD」をご紹介。

【本】
●北朝鮮
①『どん底の共和国』『凍土の共和国』『暗愚の共和国』(亜紀書房)
②『偉大な指導者金正日』(未来社)
①は北朝鮮をけなすことにかけては日本一だった亜紀書房の記念碑的三部作。②は北朝鮮をほめることにかけては日本一だった未来社が繰り出したほめまくり本の決定版

●そうだったのか!人文・社会科学系編
③松田薫著『血液型と性格の社会史』(河出書房新社)
④玉利勲著『墓盗人と贋物づくり』(平凡社選書)
⑤南浦邦仁著『ロバのパン物語』(かもがわ出版)
⑥平澤正夫著『日本の牛乳はなぜまずいのか』(草思社)

③は血液型占いのルーツを探ると、なんと人種差別に行き着くという驚くべき内容を詳細に追う。その後いろいろと物議を醸した。④は文化財は墓泥棒によってこの世に送り出され、その多くは偽物だという信じがたい事実を立証。⑤はうれしいCD付き

●そうだったのか!自然科学系編
⑦篠沢哲・林晃史著『虫の味』(八坂書房)
⑧大場秀章著『誰がために花は咲く』(カッパサイエンス)

⑥は防疫学のまじめな先生がまじめに書いている。「ハエ、非常食となるか」「ゴキブリは珍味となるか」「ユスリカのふりかけご飯」「虫粥」「あおむし、青いことはよいことだ」など、タイトルを並べるだけで茫然自失。カッパサイエンスには『タコはいかにしてタコになったか』などの自然科学系奇書を連発

●自伝系
⑨古今亭志ん生著『なめくじ艦隊』(ちくま文庫)
⑩『太郎に訊け!―岡本太郎流爆発人生相談』(青林工芸舎)
⑪ブルームバーグ著『ブルームバーグ』(東洋経済新報社)

⑨は自伝のなかで、これほどハチャメチャなものは、日本人では他には『高橋是清自伝』ぐらいとされている。徹頭徹尾メッチャクチャな人生。⑩の内容はタイトルのまんま。ガッツ石松的問答だが岡本太郎自身の人間性や美意識も色濃い。⑪は自己陶酔の決定版。堀江貴文の大先輩

●エロ系
⑫山本明著『カストリ雑誌研究――シンボルに見る風俗史』(中公文庫)
⑬週刊新潮編『黒い報告書』(新潮社)

⑫は目次の項目だけを並べるだけで凄さが垣間見える
1 接吻 接吻と日本の「民主化」
2 ストリップ ヌードからストリップへ
3 ズロース エロチシズムの象徴
4 猟奇 その栄光と残光
5 有閑マダム モダニズムへの憧憬
6 自慰 タブーとしてのオナニー
7 没落 中産階級の女の哀しさ
8 パンパン それ自身が風俗として
9 未亡人 性的人間の象徴
10 貞操 姦通罪の廃止をめぐって
11 姉弟の愛 近親相姦をめぐって
12 エロ その大義名分主義
13 阿部定 性を極限まで押しすすめ……
14 復員兵 戦争の傷痕をせおって

⑬も同じ。以下列挙。
・尼僧二人と逃亡した大僧正の色と欲
・女たちを操縦した偽パイロット
・死期の迫った女性患者の「不倫診断書」
・愛欲のタコ足配線(すばらしすぎる!)
・教師と教え子 愛の連立方程式
・教え子の母親に魅せられた体育教師の激突心中
・絶倫老人達の恋の終着駅
・七十男ジェラシーの柳刃包丁・・・・

●言語・出版関連
⑭『シゴダス』(学研)
⑮アンドレ・バーナード著『まことに残念ですが』(徳間書店)

⑭は使われなくなった言葉=死語を執念深く分類。例えば今使うとその場が凍り付く「白骨語」には「いいとも」「おにゅー」「つっぱり」「なーんちゃって」「のっぽ」「はっする」「はれんち」「ふぃーばー」「んちゃ」などが並ぶ。確かに寒い
⑮今や揺るぎなき名作を受け取った編集者が作者に出した不採用通知だけを集めた本。パール・バック「大地」、フォークナー「サンクチュアリ」、アンネ・フランク「アンネの日記」、メルビル「白鯨」、コナン・ドイル「緋色の研究」、フローベール「ボバリー夫人」、ハーディー「テス」ジョイス「ユリシーズ」、ウエルズ「宇宙戦争」、ホイットマン「草の葉」がボツになっていたなんて(ジョイスはわからなくもないが)信じられる?

●その他
⑯薬害エイズ訴訟の安部英被告に対する東京地裁判決文
究極の討論ともいえる刑事裁判における正反対の意見のせめぎ合いがすさまじいばかりに見え隠れする

【ビデオ・DVD】
①『長崎犯科帳』(キングレコ-ド)
私は1本しかもっていない。平松忠四郎という主人公は長崎奉行ながら「闇奉行」として登場して悪を叩き斬る。萬屋錦之助主演。本物の奉行のくせに闇奉行と名乗る不可解さに加え鯨打ちのモリのようなもので悪人を刺しまくるという想像を絶する展開
②『金日成のパレード』(パレードキネマ社)
ポーランドの記録映画で、いわゆるクソリアリズムの名作。最初から最後まで徹頭徹尾抱腹絶倒兼茫然自失疑いなし
③アニメンタリー『決断』(にっかつビデオ)
私が遅れてきた軍国少年になったきっかけの一つ。太平洋戦争での将官らの「決断」を中心に構成したアニメとドキュメンタリーの融合作。テレビ放映当時から右傾と問題視されビデオも長らく絶版になっていたはずだが何と05年6月に竹書房からDVDとして復活発売

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