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2005年7月17日 (日)

福永法源被告の地裁判決

東京地方裁判所が宗教法人(解散)「法の華三法行」の元代表役員・福永法源被告に詐欺の罪で懲役12年を言い渡したという報道に接して、かつて福永被告のゴーストライターを務めた人物に長時間インタビューしたことを思い出した。その人物(仮にI氏とする)は元大手出版社の役員を務めた後に自分の版元を持って独立した。その頃からか福永被告にゴーストを依頼されたといっていた。
彼はすでに鬼籍にあるので改めて裏をとることができないために実名報道ができずに今日に至った。インタビューの後に福永被告が逮捕されてこちらの裏も取れないため名誉を毀損しない程度に(刑事被告人にも名誉はある)紹介したい。

I氏は福永被告が手がけていた雑誌の編集および単行本のゴーストに関わっていたという。福永被告は「天声」と称する神のお告げのようなものをもとに「足裏診断」と称する治療ないしは診断で難病が治るといって著書でさまざまな「奇跡」を紹介していた。I氏によると「足裏診断」そのものも含めてアイデアの多くはI氏を含むブレーンで考え出したという。対価は相当な高額であった。
ただしI氏によると福永被告がゴースト本によって権威づけられた振る舞いを天性のように振る舞う能力には大変たけていた。そのため彼の正体を知らない取り巻きは本物の神だと信じていたフシさえある。

雑誌の方ではこれまた権威付けのために多数の有名人が登場しI氏が橋渡しをした。ある著名な女性政治家は「あらいいわよ」と簡単に承諾して相当なカネを受け取ったという。その政治家のイメージとは正反対の振る舞いだったと演出したI氏自身が驚いていた。

多くの人は「権威があるから本が出る」と信じている。だから詐欺師は「本を出して権威を得る」という作戦を思いつく。実際に福永被告の信奉者は彼に突き飛ばされただけで「カメハメ波」状態で吹っ飛んでいったとI氏は言っていた。ある者に神性を見出して信じ込むと、その者の振る舞いが十倍にも二十倍にもなるという信じがたい事実は、小社で出版した「カルトにハマる11の動機」の著者であるオウム真理教古参教徒の加納氏が麻原彰晃被告にもあったと実体験から書いている。ちなみに加納氏がオウムに入信したきっかけも麻原著とされる本である。

ゴーストをやらないと生きていけないというライターの厳しい現実がこうしたいかがわしい人物に力を貸す。では出版界がけちっているかというとそうではない。いかがわしいどころか功なり名を遂げた人物の著書でさえゴーストである場合がしばしばだ。大新聞の書評がほめまくっていると大笑いしたくなることがある。「あんたがほめているのはゴーストだよ」と。
私はいつかこうした事実を白日の下にさらしたいと願っているが「この人のこの本はゴースト本だ」と指摘すると結果的に情報源をさらすことになるためにできない。ゴーストライターの名前は出版社内ではわかっているからだ。すると彼ら彼女らに次の仕事が来ない。かといってわが社が彼らに代わりの仕事を回す余力もない。くやしいことである。

ちなみに最高裁が定めた原則などにしたがった「引用」や口述筆記に加筆した作品は著作権法で著作物と認定されているれっきとした文化財でありゴースト本とはまったく異なることを最後に付記する。

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