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2005年7月26日 (火)

人妻はなぜ不倫に走るのか

その原因を探ってみようとの意図で3年がかりで該当者への取材を行った。出版を前提とした取材なので数多く断られたが12人が応じてくれた。困難の連続だったが取材を続けていくうちに共通点も見えてきた。

●「人妻」とも「不倫」とも本人は感じていない
まず「人妻」という用語である。広く使われるが実は妻である者が自分自身を、または他者が妻を「人妻」と呼ぶことはないとわかった。「人妻」という用語は現在では主に「性風俗の肩書き」として流通している。
また「不倫」「浮気」の状態にある妻はそうした自分の営みを純粋な「恋」と名乗る。「夫が私の浮気に気がついて」という言葉遣いはしても「私と○○さんの浮気はこうして始まった」とは語らない。あくまで「恋」が始まるのである。

●「人妻の激しいセックス願望が不倫に走らせる」もない
おもに男性側が築いたフィクションであるようだ。事実そうした告白は皆無に近い。取材対象者に横のつながりはないに等しかったから同じ心象の人だけを集めたわけでもないし、他の場面では旺盛にセックスを語るのでセックス自体を恥じ入っている様子もない。だから「激しいセックス願望が不倫に走らせる」は虚構である可能性がかぎりなく高い。

●本当の理由は夫とのコミュニケーション
逆に、異口同音に発せられたのは夫とのコミュニケーション不足である。妻が言葉にできない不安や不満を抱き、言葉にならないゆえに話されることはなく、話したとしても夫の解釈は要領を得ない。そのうちに会話をあきらめた妻――彼女らがつまずくこと必至の「恋」に向かっていく。夫婦のあり方を再発見しようと苦しんでいる妻たちの姿がそこにはあるように思えた。
それは、単刀直入にセックスにもいえることらしい。面白おかしい性描写で読者の興味を引く気は最初からなかったが。理由は編集方針というよりも、事実として面白おかしいものではないからである。

これらの聞き取りをまとめたのが小社から発行している『妻の恋』(大畑太郎・川上澄江著)である。

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